良薬口に苦し | 東進ハイスクール 石神井校 大学受験の予備校・塾|東京都

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2023年 9月 17日 良薬口に苦し

皆さんこんにちは!担任助手の吉村です。先日はひどいゲリラ豪雨が石神井公園を襲いましたね…皆さんも安全には気を付けてくださいね!

さて、今回は久しぶりの文字ブログです。先日、個人的な話にはなりますがキルケゴール著「死に至る病」を読まさせていただきました。内容は非常に難しく、簡潔な要約をここで述べる事すら不可能であるほどでしたが、印象的だったのは仔細に「絶望」という状況を分析していたという点にあります。一見漠然とした大きな「絶望」を彼の著作では構造化し、体系的に学習させてくれたことで、私にとって絶望はもはや対処不可能なものではなくなっていました。

受験生は現在、かつてないほどの困難に立ち向かっています。(私は大学受験が今までの中で一番の困難でした。)その過程で多くの挫折や絶望を経験するかと思います。そんな受験生を勇気づけたい!という気持ちに端を発し、今回は受験生時代に陥りがちな挫折とその対処法に関して、かの著作に倣い、出来る限り分析を深めて書いていこうと思います。

そもそもまず、受験生が陥りがちな挫折や絶望にはどのようなものがあるでしょうか。

例えば、模試で偏差値が思うように出なかった、同じレベルだと思っていた友人が急に成績を伸ばしてきた、どうしても解けない難問にぶつかったなどがあげられるでしょうか。これらの課題や難題に直面した際、受験生の多くは解決が難しいという感情から転じて、辛い感情を抱き、現状の自分では解決できないという認識が深まれば深まるほど、その辛い感情は増大し、処理不可能なまでに膨張してしまうかと思います。

 

私はそれらの挫折や絶望感の根源に挙げられるのは「現状と理想の乖離」であると断定します。

 

「こうありたい!」という各人の理想が高ければ高いほど、自己の現状との差が際立ち、その差異に打ちひしがれるというプロセスで挫折や絶望を感じます。

具体例を見ていきましょう。

これは私が高校3年生の夏に経験した1つの挫折です。当時の私は志望校合格に向け、日々勉強を頑張る割と従順な生徒(主観だが)であったかと思います。成績もある程度、努力に比例し、飛躍的躍進さえないものの、コンスタントに成長していった実感が当時は確かに有りました。東進のスケジュールに則り、夏、実際に過去問に着手してみると、なんとまあびっくりするほど点数が取れませんでした。10年分の演習を通じて伸びた点数は0点。いつまでたっても、目標の7割には遠く及ばず、5割しか取れない日々が続いており、大きな挫折を味わったことが無いそれまでの人生に於いて、最大級の挫折が到来しました。恐らくそれも「現状と理想の乖離」によって引き起こされた挫折でしょう。

皆様の中にも、このような挫折や絶望を経験している受験生も多いのではないでしょうか。

では早速、「現状と理想の乖離」を母に持つ挫折と絶望に関して、ここから対策と緩和に関して考えていきましょう。

この「現状と理想の乖離」は往々にして、「志望校のランク引き下げ」を以てして改善に向かうことが多いかと思います。「今のままの勉強をしていては、何処の大学にも受からないかもしれない…!」という焦燥感が理想の引き下げを誘発します。そうです、突拍子もないように感じられるかと思いますが、緩和法の答えはこれです。

 

理想の引き下げを以てして、自己の認識との誤差を修正する、ということです。

 

この方法は事実、ある程度の効力を持ちます。現状の自分では到達不可能な山に登っている最中、急に現れた一筋の光明。「この山なら登頂できるかも…!」という期待は受験生の勉強意欲を刺激し、短期的な努力量向上には寄与します。然し、この方法はあくまで”緩和”に過ぎません。緩和は『厳しさや激しさの程度を和らげること。また、和らぐこと。(デジタル大辞泉より)』と定義されているように、現状の挫折や絶望を根本から解決するようなものではなく、実際、これは私が中学受験の頃の話になりますが、私の友達は志望校を下げたことで油断し、勉強量がそれまでの時期と比べ、下がっていき、下げた志望校にも受からないといった事態になってしまいました。

では、緩和ではなく挫折や絶望に対処するにはどのようにしたらよいでしょうか?

 

それはひとえに、主体性を持ってこの乖離に直面していくということです。

 

前者の緩和法が手早くその場限りに安寧をもたらすものだとすれば、この対処法は、気長く永遠に安定をもたらしうるものであると言えるでしょう。「死に至る病」においてもキルケゴールは絶望への対処法として同様の解を提示しています。現在は恐らく、その乖離に直面する際、非常に多くの労力を要すると思います。解けないかもと思いながら問題を印刷し、取り組む、結果が奮わないかもと心配しながら試験会場に足を運ぶといった行為は並大抵では無い精神力が必要ですし、実際受験生はこういったイベントに頑張って挑んでいると心から思います。

良薬口に苦し、です。

辛いイベントや出来事にこそ、挫折絶望解決への糸口はあります。東進では現在志望校別単元ジャンル演習が開始しており、難易度の高さから、勉強のやる気を損なっている生徒もいるかと思います。しかし、先述の通り、改善の糸口は辛い方面に存在します。

是非とも、現状に打ちひしがれつつも、主体的に解決に向かっていただければと思います。

 

以上、受験生時代に陥りがちな挫折・絶望への対処法でした。